Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2021.09.28

ロイヤルミルクティーの作り方の違い

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なぜロイヤルミルクティーの作り方がこんなに違うのか?

ロイヤルミルクティーはロンドンティールームが開発し名前を付けた当店発祥の煮込み式ミルクティーですが、世の中には様々な「ロイヤルミルクティー」のレシピが存在しています。
その中でも「日本紅茶協会」のロイヤルミルクティーのレシピは、ロンドンティールームのレシピとは全く異なる作り方を紹介しています。

日本紅茶協会といえば、国内唯一の紅茶の業界団体として様々な紅茶メーカーや輸入業者などが組織に属しており、当店も継続認定して頂いている「おいしい紅茶の店」の認定制度や、ティーインストラクター・アドバイザーの育成など、紅茶の広い普及に尽力されています。

今回の記事では、「どうしてレシピがこんなに違うのか」という点についてお話したいと思います。

ロンドンティールームのロイヤルミルクティーレシピ

ロンドンティールームのロイヤルミルクティーは沸騰した湯の中に茶葉を入れて強火で煮込むことが特徴です。

「砂糖もスパイスも入れず、茶葉と牛乳だけで濃厚な美味しいミルクティーを作る」というコンセプトのもと、イギリス家庭で飲まれる濃厚なコクのあるミルクティーを日本で再現すべく開発したのが始まりです。
しかし、当時日本に流通していた牛乳は現代のものと比べても味が薄く、イギリスのミルクティーには到底及びもしない味わいだったことから一筋縄ではいかぬ難題でした。
開発の意図には、私の修行先でもある「ティーハウス・ムジカ」のスパイスティーとの差別化を図る目的もとても大きく、「牛乳と紅茶だけで濃厚なミルクティーを作ること」はどうしても妥協できない条件だったのです。
そこで専用茶葉の開発に踏み切り、さらには日本全国から最適な牛乳を取り寄せて選定して出来上がったのが、ロンドンティールームのロイヤルミルクティーです。

開発秘話については詳しくは以下のブログ記事に書いておりますので、よろしければご覧ください。

私のロイヤルミルクティーへの熱い想い

全国から目当てにご来店いただくほどご好評いただいているロイヤルミルクティー。並々ならぬ苦労があったメニュー開発の裏話です。

日本紅茶協会のロイヤルミルクティーレシピ

日本紅茶協会に掲載されているレシピでは、あらかじめ湯で茶葉を開かせてから沸騰直前の水と牛乳の中に入れてすぐに火を止めるという特徴があります。

「牛乳と茶葉だけで作るミルクティー」という根本的な考え方においてはロンドンティールームと同じですが、ロンドンティールームのレシピとの大きな違いはレシピ開発における背景の違いにあるのではないか、と私は考えています。


(出展:日本紅茶協会 冬の紅茶レシピ ロイヤルミルクティー)

以下に記述するのは、私自身が日本紅茶協会の制度である「おいしい紅茶の店」の認定店として日本紅茶協会と長い付き合いがあること、また日本紅茶協会に所属する商社やメーカーとの長い付き合いから積み重ねてきた会話や、公開されているレシピを見た上で総合的に判断した考えに基づく推測となります。

日本紅茶協会には様々な紅茶輸入商社や紅茶メーカーが組織に属しています。
したがって紹介するレシピも、自分たちが販売している茶葉の範囲の中からという制約があるのが当然の原理と言えるでしょう。

商社やメーカーで販売されている紅茶は、ティーポットで淹れて美味しい紅茶としてパッケージングされている一級品の紅茶です。
紅茶を扱うプロには、「良質な茶葉はティーポットで淹れて飲む」という徹底した考え方があります。
だからこそ販売者側からすると、「商品として完成された紅茶」をわざわざ煮込むために使用するというのはどうしても抵抗感があるものです。
そうした背景がありながらもロイヤルミルクティーのレシピを公開するに至ったのは、ひとえにロイヤルミルクティーの認知が拡大するにつれてレシピの需要も増えたことによるものでしょう。

▲日本紅茶協会協力 「紅茶カタログ」(1994年 西東社出版)

当時日本で販売されていた紅茶が紹介されており、刊行にあたり日本紅茶協会に所属する輸入商社や紅茶メーカーも多数協力している。

濃厚さを追求して抽出時間を長めに取ったり煮出したりといった手法は、どうしてもエグ味が出てしまいます。
そこで、正当なレシピとして考えられたのが「一度お湯で開かせた茶葉を使用し、沸騰前の鍋に投入する」という方法だったのではないかと考えられます。

ロイヤルミルクティーのレシピを探されている方の中には、既に購入済みであったり貰いものの茶葉で作りたいと考えている方も非常に多いのではないでしょうか。
日本紅茶協会のレシピは茶葉に与える刺激を最小限にした上で濃厚な味わいを作ることができるため、市販の紅茶で作りたい方にもぴったりなレシピであると言えます。

ロイヤルミルクティーのレシピ選びは「使用する茶葉」がポイント

では、どちらのロイヤルミルクティーのレシピがより美味しいのか?
というと、どちらも紅茶を知り尽くしたプロが考案したレシピであるということから「美味しさに優劣はなく、使用する茶葉によって使うレシピを変えるのが大事である」というのが私の見解です。

先ほども述べたように、茶葉は煮込むとエグ味が出やすい性質を持っています。
ロイヤルミルクティーを美味しく作る最大のコツは「使用する茶葉に準じたレシピ」を選ぶという点が基本中の基本であり大事なポイントとなります。

当店のロイヤルミルクティー専用茶葉のように「ロイヤルミルクティーを作るためにブレンドされた」茶葉を使用するのであれば、ロンドンティールームのレシピが良いでしょう。
しかし、たとえば売り場で「ティーポットで淹れる用」として販売されているアッサムやウバなどのパッケージ商品を使用したいのであれば、日本紅茶協会のレシピがベストであると言えます。

さいごに。

私としては、ロンドンティールームのロイヤルミルクティーのレシピが最も正しい作り方であると主張したいわけではありません。
同じ「ロイヤルミルクティー」という名前ではありますが、紅茶のプロがそれぞれに使用する茶葉に準じた作り方を研究し模索してたどりついた結果が、「煮込む」と「蒸らす」という性質の違いを持ったレシピになっただけであると考えています。

何度も申し上げているように、重要なのは使用する茶葉に準じた作り方を選ぶことです。
ぜひその点を理解した上で、ご自分に合った美味しいロイヤルミルクティーのレシピを探してみて頂けたらと思います。

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