第二回はダージリンの紅茶の歴史について少しご紹介します。
①ダージリンの紅茶の歴史
1835年:イギリス東インド会社の領地となる
1841年:ダージリン地区長官キャンベル博士が自宅に中国種の茶の種を播き、栽培に成功
1852年:3つの商業茶園が出来て人口も10,000人と増加した
*3つの茶園とは、Tukvar, Steinthal, Aloobaniである。労働者は国境近くである故、ネパール人が雇用された
1866年:この頃には茶園数39, 生産量21トン
1870年:茶園数56、生産量 71 トン 栽培面積 4,400ヘクタール
1874年:この頃にはDarjeeling Tea 生産は商業ベースとなる事がわかり、113茶園6,000ヘクタールとなる
1881年:紅茶輸送の為、イギリスより導入された鉄道(今のトイ・トレイン)を敷設。これはイギリス産業革命により発明されたもので、狭い山間部の茶葉輸送に小型蒸気機関車は大いに貢献した。
1999年:トイ・トレインが世界文化遺産に登録される
2008年:茶園数は87、 総面積17,818ヘクタール、総生産量11,600トン。茶園労働者:約54,000人(ダージリンの総人口はおおよそ100,000人ゆえ約半分が茶園関係者である)
当時のトイ・トレインの絵画。始発~終点までは88km 約8時間の旅である。
グーム駅でのトイ・トレイン機関車燃料補給、点検作業
ダージリン駅に向かうトレインの列車とすれ違った。後ろに見張の台車が付いていて2名の要員が乗っている。
ダージリンは夏は涼しく、冬は穏やかな気候で昔からイギリス人やインド富裕層の避暑地となっている。ほとんどの旅行者はカルカッタやデリーから飛行機を使うが、短い区間だけでもこのトイトレインに乗ってみると面白い経験になるでしょう。
(注1)87の茶園は単独での経営は難しく
、Goodricke, Belra, Chamong 他、計7つのいずれかのグループ傘下に入っている。
(注2)ダージリン紅茶は、「その商品特性、評価がダージリンの地理的特徴に由来する製品」であり、原産地を特定する表示(Geographical Indication GI=地理的表示) として、国際的に知的財産権の一つとして認められ、保護されています。他の産地では出来ない特徴を持った紅茶と言えます。
【参考文献】ダージリンプランターズ協会発行/ダージリンティ
②インド紅茶及びダージリン紅茶の概要
紅茶生産量:979,000トン(2009年世界第1位)ダージリン=11,600トン
紅茶輸出/輸入:203,120 トン/ 20,300トン(2008年)
紅茶国内消費量:796,000トン( 1人当たり671g / 年 )
紅茶総販売額: 約25.1億ドル(内ダージリン約3.0億ドル)(国内生産979,000トン+ 輸入20,300トン)x105.6ルピー/$
=全インド2009年平均オークション価格÷42ルピー/$ (12月)
紅茶栽培面積:計578,458ヘクタール(内ダージリン17,818ヘクタール)7つの渓谷に広がっている
紅茶生産者数:小規模茶園157,504、大規模茶園 1,686
茶収獲率/ヘクタール:全インド1,705kgs (ダージリン562kgs )2007
収穫:春摘み(1st Flush )、夏摘み(2nd Flush)、秋積み(Autumnal)と3回ある。
次回からインド旅行記をお楽しみ下さい。
(旅人・寄稿:紅茶専門輸入商社 I氏)