Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2026.01.15

世界一有名な列車「オリエント急行」の銀食器

twitter


「Praha-Smíchov, Orient Express, vozy」byHonza Groh – Own work. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

オリエント急行。おそらく、あらゆる意味で世界一有名な列車でしょう。

この度、オリエントエクスプレスのロゴ入りアンティークティーセットを入手しました。

こちらのアンティークに関連して、今回はオリエント急行についてご紹介します。

商品ページはこちら

世界でもっとも有名な列車


「CIWL-Logo-bleu」byTamorlan – . Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

オリエント急行は、かつてヨーロッパを縦断していた超長距離寝台列車のこと。だいたい4日ほどかけて、フランスからトルコまでの路線をつないでいました。路線は一本ではなく、フランスのカレーやベルギーのオーステンデから始まり、ギリシャのアテネ、ルーマニアのコンスタンツァ、ブカレストなど、複数の路線があったといいます。

当時は電気がないので、機関車でのけん引式。それでも、「動く宮殿」と飛ばれるレベルの、豪華な客車だったといいます。乗客たちは、部屋で本を読んだり、食堂車でおしゃべりを楽しんだりしながら、到着までの時間を過ごしたようです。

待遇も非常によく、ボーイ(今はあんまり使われない)は深夜でも対応してくれた様子。そこらじゃ飲めないようなお酒や水も置かれていたようです。

もっとも、一般用の客室はあんまり広くなかったりします。一等客室はベッドの置いてある(組み立て式らしい)1人部屋ですが、二等客室は2段ベッド式の部屋です。

外観は、夜空を思わせる濃紺。何の因果か、日本のブルートレインと似ています。

「東方」への道


「Orient Express at the Railway Museum of Thessaloniki 4118114866」byNubrig – . Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

名前の「オリエント」というのは、東方(ヨーロッパから見て)という意味。ヨーロッパとトルコ方面をつなぐ列車なので、かなりストレートなネーミングですね。

当時のヨーロッパでは、トルコや中国は、ちょっと謎めいた存在として描かれていました。物理的に離れていたこともあり、直接東方に行ったことのある人が限られる状況。未開の地で見たものごとが口伝てで伝えられるたびに、ミステリアスでファンタジーな場所、と話が膨らんでいったのかもしれません。

ちなみに、実際のトルコはヨーロッパ・ロシア・アジアの文化が複雑に入り混じっていたため、厳密には「オリエント」ではなかったといいます。

推理小説「オリエント急行の殺人」


「Orient-Express-2」byJulieta39 – Own work. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

推理小説の話が出たので、ちょっと脱線。
オリエント急行を一躍有名にしたきっかけは、イギリス出身の女性小説家、アガサ・クリスティが著した推理小説です。

アガサ・クリスティの人気シリーズといえば、名探偵ポワロ(ポアロ)。
「オリエント急行」の事件は、ポワロシリーズはもちろんのこと、ミステリー界全体で見ても「大人気作」と言って差支えないでしょう。

今なお愛されるミステリー作品


▲トンネルの中で披露される、最後の推理とは……

舞台は、イスタンブール発カレー(フランスの地名)行の列車の中です。
雪の中で立ち往生した列車で起きた、奇妙な事件。1人の乗客が、大きさも深さもバラバラな10数か所の刺し傷により、亡くなっている事件が発生します。

偶然乗り合わせていたポワロは、なし崩し的に事件の解決に乗り出す……。
いかにも、推理小説といったお話になります。

ところが、いくら捜査を進めてみても、怪しい人物が浮かばない。
ポワロは話の中から、乗客たちと被害者の間にあった関係性に気づき、ある突拍子もない可能性に至ります。
ポワロが推理した内容は2つ。1つは、列車内に侵入した人物がいたこと。そしてもう1つは……?

幾度も映画化されたうえ、ゲーム作品にもなっている「オリエント急行」の事件。一度観れば、ミステリーものにハマること間違いなしの一作です。

贅を尽くした内装と食事


「Restaurant Anatolie configuration 2」byDidiaszerman – Own work. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

オリエント急行の内装は、贅の限りを尽くしたものでした。カーテンはビロード、家具はマホガニー、食器は銀製……。

もちろん、食事も内装に負けないほどの豪勢さ。その額たるや、シャンパンのハーフボトルだけで、当時の炭鉱労働者2日分の給料が飛ぶほど。まさにセレブの世界です。

ブランド化された現在


「Pullman 284 ‘Vera’ at London Victoria」byOur Phellap – . Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

そんなオリエント急行は現在、ブランドとしての価値が重視されています。
ホテルや客船など、列車と直接関係ないものにも「オリエント・エクスプレス」ブランドが付けられているのです。

オリエント急行の運営会社であった「ワゴン=リ」カンパニーは、オリエント急行が走っていた時期から、ホテル事業にも手を出していました。単なる寝台特急の旅から、観光も含めた総合的な旅行を提案する目的だった様子。

とはいえ大手のホテルにはかなわなかったため、「オリエント・エクスプレス」ブランドとして知名度を上げていく方向に舵を切りました。

日本と同様、高速鉄道や飛行機の発達とともに、オリエント急行は衰退していきます。そして1970年代、完全に役目を終え、撤退することになりました。保有車両の一部は、オークションで売却されたそうです。

かつて、贅沢の象徴と呼ばれたオリエント急行は、もう伝説になってしまったのです。

日本でも走ったオリエント急行


「EF65 1136 ORIENTEXPRESS’88」byspaceaero2 – Own work. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
▲1988年、日本で走行したオリエント急行。牽引車は同じく濃紺の(推定)ブルートレイン。

実は、オリエント急行は日本に持ち込まれたこともあります。1988年には、実際に走行したことも。とはいえヨーロッパと日本は線路の規格が違う上、客車は重いし、通電もできないという3重苦。荘厳な見た目とは裏腹に、実際の運転には苦労したとか……。

また、滋賀県にあったテーマパーク「びわ湖パラダイス」には、オリエント急行の客車に泊まれる「オリエント急行ホテル」がありました。現在は撤去されており、残った車両は方々に散っている様子。一部は、山奥で廃墟となっているようです。


「170721 Lalique Museum Hakone Japan07n」by663highland – Own work. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
▲箱根ラリック美術館に展示されているオリエント急行。中でティータイムや食事を楽しむこともできる

日本に現存するオリエント急行のうち、もっとも有名なのが、「箱根ラリック美術館」のものでしょう。高級レストランのような内装の車内で、ティータイムが楽しめます。
ちなみにこの車両、先に説明した1988年の日本走行時に運び込まれたものなんだとか。今、日本国内で走っているオリエント急行を見ることはできませんが、実際の内装を楽しむことはできます。

東方にエキゾチックな魅力を感じていた西欧で作られたオリエント急行が、逆に日本人を魅了してしまう。オリエント急行が健在だった時代に生きていた人たちが知ったら、どう思うのでしょう?

「東方」への憧れを形にした列車

「Gare du Nord oud VO」byS.A. Bruxelles – “Les chemins de Fer Belges” Commemoration catalog with lots off advertisements off railway industry and products.. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
▲1920年代末期(推定)のオステンド・ウィーン・オリエント急行。ベルギーの鉄道カタログに掲載された当時の写真。

かつて、ロンドンからトルコ・イスタンブールまでを結んだ濃紺の宮殿、オリエント急行。走る姿を拝めなくなった現在でも、その名声は息づいています。

しかし最近、フランスのホテルチェーン「アコー(Accor)」がオリエント急行ブランドの株式を購入。2025年に、オリエント急行が復活する「再生プロジェクト」が予定されています。
濃紺の客車に贅沢な内装をもつ、オリエント急行がもう一度走る日は、遠くないのかもしれません。

食堂車でのディナー、バーでのカクテルと生演奏、青いユニフォームに身を包んだ乗務員たち……。ひとたび乗れば、当時のオリエント急行に乗ったような体験ができるかも。

乗っている最中に事件が起こらないこと、探偵と犯人が乗り込んでいないことを祈りつつ、列車の旅を楽しみたいものです。

Blog Category

ブログカテゴリ一覧

Page TOP