暑くなると、冷たいものが恋しくなりますね。ただ、電車や職場、カフェなどでは冷房がしっかり効いています。この急な温度変化に、体がついていかない方も多いのではないでしょうか。
そんな夏場のセルフケアとして、見直されているのが「温かい紅茶」です。
「この暑さでホットティーなんて」と思われるかもしれません。しかしながら、体を温める・冷やすためにお茶を飲む習慣がありました。
冷えには紅茶、暑さには緑茶
現代では、お茶はあくまで嗜好品です。しかし、古代中国では薬草としての一面もありました。
たとえば、10世紀の中国で書かれた『図経本草』では、茶には「冷」や「温」といった性質があると記されています。
なかでも、現在の紅茶に近いとされる「発酵茶」は、体を温めるとされていました。
一方、緑茶のような不発酵茶は、体を冷ますと考えられていたようです。これらは東洋医学的な捉え方に基づくものの、現代に通じる考え方でもあります。
紅茶の成分と「温かさ」の関係
紅茶を製造する過程では、茶葉に含まれるカテキンが酸化し、「テアフラビン」と呼ばれる化合物に変化します。
このテアフラビンについては、一部の研究において、代謝に関与する可能性があると報告されています(※下記文献参照)。
また、紅茶のカフェインは、眠気覚ましとして親しまれてきました。
これらの成分が、夏のだるさや冷房による重だるい感覚に寄り添ってくれるかもしれません。
日中や寝る前など、どうしても冷房が効いた空間にいなければならないタイミングは、毎日あります。
そんなときは、温かい紅茶を一杯、いれてみてはいかがでしょうか?
※参照:
岩間眞知子(2017).茶はくすり―中日資料から見える茶の姿.日本温泉気候物理医学会雑誌, 52(1), 9–18.
イギリスでは夏でもホットティー!?
紅茶の本場・イギリスでは、夏でも温かい紅茶を飲む習慣が根づいています。
実際、アイスティーを提供しないカフェも少なくないのだとか。
この習慣には、日本とイギリスの気候が関係している様子です。日本の夏は30℃を超える猛暑が続く一方で、イギリスでは20℃台前半と涼しい環境になっています。冷たい飲み物に対する需要が、そもそも異なるのかもしれません。
とはいえ、最近のイギリスは30℃を超えることも珍しくない様子。もしかすると、イギリスでアイスティーが流行るきっかけになるかも……?
夏も、紅茶でほっとひといき
暑さだけでなく、冷房や室内外の温度差で、夏は意外と体が疲れやすい時期です。
そんなときこそ、ほっとひと息つける温かい紅茶。紅茶で体を温めて、自分をいたわってみましょう。
体を温めたいときは紅茶、冷やしたいときは緑茶がおすすめ。熱いものを飲む気分じゃなくても、時には本場イギリスのように、温かい紅茶を楽しんでみては?
【夏場におすすめ】スタッフイチオシ紅茶
スタッフが夏場によく飲む、スッキリした風味のお茶をご紹介します。
ヌワラエリヤティー
キュッとくる渋みがたまらない、緑茶のような味わい。
アールグレイティー
弾けるような柑橘系の香り、ミルクとの相性も◎。
ウバティー
ミントのような「ウバフレーバー」でリフレッシュ。
※本記事は紅茶の伝統的な文化や、一般的に知られている成分の特徴を紹介したものであり、治療や予防を目的とするものではありません。ご体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。