Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2021.09.10

ロンドンティールームがブレンドを扱うこだわり

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目次

ロンドンティールームでは、ブレンドした茶葉で紅茶を提供しております。

時々、お客様から「なぜロンドンティールームではエステートものを扱わないのか?」といったご質問をいただくことがあります。紅茶専門店=エステートものをこだわって仕入れている、というイメージがまだまだ根強く残っているように思います。

そこで今回は、「なぜロンドンティールームではブレンドされた茶葉を取り扱っているのか」という点についてお話しようと思います。

「紅茶」の定義

「ブレンドティー」というと「混ぜもので質の低い紅茶だ」という印象を受けられる方もいらっしゃいますが、まったくの誤解です。
まず前提条件として覚えていただきたいのは、「紅茶」とはブレンドをしたものを指します。

「エステート」とはひとつの茶園で作られた茶葉を指します。(単一茶園とも言います。)
広く一般的に認知されている「ダージリン」や「アッサム」といった名称は茶葉の品種名ではなく、茶葉を収穫した産地の名前が付けられています。
日本茶でいう「狭山茶」や「宇治茶」などと同じ考え方であると考えて頂ければわかりやすいかと思います。

紅茶の各産地には複数の茶園があり、たとえば「ダージリン ファーストフラッシュ 〇〇茶園」と書かれた商品がいわゆる「エステートもの」と呼ばれるものにあたります。
同じ産地で収穫されている茶葉でも、茶園や収穫時期・収穫された年によって味わいが変わってくるため、毎年の味わいの違いを飲み比べて楽しまれており、紅茶通の間で人気となっています。

紅茶業界において、茶園で収穫された茶葉(=エステート)は紅茶を作るための原材料という扱いをしています。(以下、「原茶」と表記します。)
ブレンドをする前の状態はまだ紅茶ではなく、各茶園から買い取った茶葉(原茶)を、消費する地域の水や嗜好に合わせてブレンドをしてはじめて「紅茶」となるのが紅茶業界の考え方となります。

そのため、当店ではブレンドをした茶葉を取り扱っております。

エステートの紅茶は「敷居が高い」

「美味しい」と感じる基準は個々の生活習慣が大きく反映されるため、人によって差異が生じる非常に抽象的で繊細な感覚です。
基本的に紅茶通の間で「良い紅茶」と評価されるものは渋みが強く感じられて尖った味わいのものが多いため、紅茶を普段から飲み慣れていない方にとっては難しく、敷居が高く感じられてしまうという欠点があります。

「敷居が高く感じる」という点では、ワインを例に考えると非常に分かりやすいでしょう。
たとえば普段からワインを飲みなれていない方にとっては、値段の高さや銘柄の種類の豊富さから「ワインを嗜むためには知識・経験が必要そうである」というイメージが先行して気後れしてしまう傾向があります。
また、何年も熟成された高級なヴィンテージワインよりも、リーズナブルで手に入りやすいフレッシュで軽やかな味わいのワインの方が美味しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

紅茶も同じく、流通市場での 「ランクが高ければ高い=美味しい」という方程式が、万人にとっては必ずしも当てはまらないのです。
そして「知識が必要そうで難しそう」「自分には味の良さがいまいち分からないが通の間では好評だ」という状態が、「敷居が高く、気軽に入ることが出来ない」という先入観に繋がってしまうのです。

子どもの時に苦手だったものが大人になるにつれて味覚が鍛えられて、味の奥深さや複雑さを美味しく感じるように、紅茶の「渋み」も何度も味わうことによって慣れて鍛えられるものです。
そのため、「渋みを楽しみ味わう」エステートの紅茶は、舌が渋みに慣れていない方にとって「渋み」だけがより強調されて感じてしまうのです。
これには食習慣や食の嗜好の変化、特に「ペットボトルをはじめとした市販の紅茶飲料」と「コンビニエンスストア」の登場が大きく関わっていると考えられます。
飲みたいと思った時に味が調えられた紅茶がすぐに手にできる世代からすると、「渋み」は味わった経験の少ない感覚です。

ワインやコーヒーなど「渋み」や「苦み」を感じるものも、徐々に美味しさが分かるようになってきたという方が大半なのではないでしょうか。
エステートものの紅茶も同様で、舌が渋みに慣れていない方にとっては、どれだけ良い紅茶であっても舌に残る紅茶の渋みが飲みづらさを覚えてしまうのです。

世間では「サードウェーブコーヒー」が注目されていることから、中にはその流れで「紅茶もエステートものが良いのでは」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、お店でいくら良いものを厳選してご提供していても、「美味しかったからまた行きたい」とリピーターにはなってくれるお客様が多くなければ店の経営は成り立ちません。
「紅茶専門店」というだけでハードルを高く感じられてしまう方もまだまだ多い中で、そこもエステートものを扱う難しさのひとつともいえます。

また、エステートものは仕入れコストが高くつきやすく、価格も味わいも常に不安定です。
日本においては圧倒的にコーヒー消費の方が多く、この40年の間にもエステートの紅茶だけで勝負をしている紅茶専門店の多くは廃業に追い込まれてしまったのが実情です。

なぜ、ブレンドにこだわるのか?

エステートものを扱う難しさをお伝えしましたが、ロンドンティールームがブレンドにこだわる理由はほかにも2つあります。

1点目は「飲みやすさを追求するため」です。
ロンドンティールームの紅茶は「日常的においしい紅茶を楽しんでほしい」がコンセプトのもと、提供しています。だからこそ、ロンドンティールームでは渋みの強い紅茶をあえて採用していません。
日本茶でも普段使いには煎茶より番茶を選ぶ人が多いというのと同じで、日常的に飲みたくなる味わいというのは「飲みやすさ」が求められます。
そして「飲みやすさ」を追求する上で、ブレンドは必要不可欠な工程です。
当店では、紅茶の中で比較的渋みが強いとされるダージリンであっても、「紅茶のシャンパン」とまで呼ばれる爽やかな香りは残したまま、渋みはマイルドになるようブレンドしています。

2点目は「おいしいミルクティーを味わっていただくため」です。
ありがたいことに多くの方に「ミルクティーのおいしい店」と広くご認知いただけるまでとなりました。
これも、イギリスの濃厚な牛乳で作られるミルクティーの美味しさを、日本の方々にも味わっていただきたいという想いのもと、「ミルクティーとして味わう」ことを目的としたブレンドをしているからです。

日本では「紅茶にミルクを入れたらミルクティー」という考え方がまだまだ抜けておらず、さらには牛乳ではなくコーヒーフレッシュが使われる場合もあります。
しかしミルクティーとは本来「ミルクティーとして味わうこと」を考えて、使用する牛乳に合ったブレンドの紅茶で淹れて楽しむものです。
酪農が盛んであるイギリスでは「紅茶といえばミルクティーである」とされていますが、当たり前の感覚として「常用しているミルクに合ったブレンドの紅茶」を購入しており、各家庭に定番のミルクティーブレンドがある程です。

ミルクティーの本当の美味しさを普及するために様々な取り組みを行い、今では「ミルクティーといえばロンドンティールーム」とご評価いただけるまでとなりました。
当店の「ミルクティーのためにブレンドするこだわり」については、以下の記事もご参照ください。

イギリスから学んだ、おいしいミルクティーを楽しむのに一番大切なこと

おいしいミルクティーになかなか出会えないという方必見!紅茶の本場イギリスのミルクティーから教えられた、本当においしいミルクティーのヒミツとは?

このように、

  • 「原茶それぞれの良いところだけを引き出し、より紅茶を美味しくする」
  • 「ミルクティーに合うようコクを出し、ブレンドでしか出せない味わいを作る」

ことが出来るのがブレンドのメリットです。
このほかにもブレンドを扱うメリットはたくさんありますが、また別の記事でもご紹介しておりますのでぜひご一読ください。

「紅茶」のブレンドとミックス

紅茶をブレンドする目的はここにあった!繊細で職人技が必要な「ブレンド」と、「ミックス」との違いも説明いたします。

当店が紅茶専門店として営業しているからこそ、できること。

ロンドンティールームではカフェやレストランなどといった飲食店店舗様へ、できる限り安定した価格でご提供できるようにつとめております。
これは、ロンドンティールーム自身が大阪の繁華街で紅茶専門店を40年ちかく経営しており、日々の喫茶営業の中でコスト管理や原価計算の大変さを身をもって痛感しているからです。

ブレンドには「原茶の出来の不安定さを取り除き、商品の品質を一定にさせる」という側面があると共に、紅茶産地の相場価格に応じて材料とする原茶を変え、価格もある程度安定させることができるメリットもあります。
(詳しくはブログ記事「紅茶のブレンドとミックス」もあわせてご覧ください。)

当店では輸入商社との契約により紅茶を仕入れていますが、輸入商社は現地のブローカーとの契約により大量に紅茶を確保しており、さらにコンテナによる船積みで大量に輸送するため航空便と比べても輸送コストが大幅に抑えられます。
また、大量確保により天候不良や社会情勢等による収穫不良などの価格高騰といった現地茶園の影響も受けにくく、様々な種類の良質な茶葉を安定した価格と納期でご提供することができております。

また、ロンドンティールームでは業務用の紅茶販売だけではなく、プロ向けのレシピの公開や、店舗での紅茶提供を実践的に講習するプロ向け実践講座も行っております。

このような取り組みを行っているのは、既製品ではなく茶葉から淹れたおいしい紅茶を提供するお店がもっともっと増えて紅茶業界が盛り上がってくれたらと考えているから。
店に訪れるからこそ味わえる紅茶の美味しさを、もっとたくさんの方に知っていただきたい。
そのためにも、飲食店をはじめとした店舗様にとって安心してお付き合いいただけるような店になりたいと考え、常に色々な試みを行っています。

ロンドンティールームは大阪の繁華街・梅田で2店舗運営しており、日本紅茶協会「おいしい紅茶の店」の制度開始以降、30年以上継続して認定しつづけていただいている紅茶専門店です。
店舗でお客様に「美味しい」と直にご反応をいただけており、全国からリピートしてご来店くださるお客様が多くいらっしゃるからこそ、自信を持って販売をしております。

当店の茶葉は公式オンラインショップはもちろん、楽天市場やAmazonでもお気軽にご購入いただけます。
業務用サイズは100g・250g・500g・1kgの4サイズで販売しておりますので、店舗様の規模や消費量にあわせてお選びくださいませ。

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また、紅茶選びや提供の仕方など何かご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。
ぜひ、皆様と共に発展していけたらと思っております!

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ロンドンティールームへのお問い合わせはこちらから。業務用紅茶の導入についてお悩みである旨をご記入頂けるとありがたいです。

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