Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2015.04.22

紅茶に「合う水」「合わない水」:紅茶と水の話(前篇)

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今回のお話は「紅茶と水」のお話です。

目次

紅茶は水に敏感

茶類の中では、紅茶が一番水の影響を受けやすいといえば意外に思われるかもしれません。

日本茶(緑茶)も硬水(ミネラル類を多く含む水)に弱いのですが、ミネラル類のバランス具合で少し硬めでも構いません。

しかし、紅茶は水色(抽出した紅茶液の色)がかなり変化するので、紅茶向き、向かない水かどうか分かります。

今回は「紅茶をいれる水」についてよくよく考えて見たいと思います。「たかが水」されど「人間に必須の水」です。

 

結論から先に言います。

いま手に入る水の中では、「水道水」が一番経済的で、紅茶をいれるには最適だと言うことです。

以下の話はその裏付けのための話です。決して難しい話ではありませんが、必要な知識です。頭の隅に置いておくと紅茶をいれるときに必ず役立つ筈です。

紅茶に「合う水」「合わない水」

紅茶に合う水、合わない水があります。(そのまま飲んで美味しい水とはヤヤ違います)

紅茶に合う水とは、紅茶本来の特質を十分引き出してくれます。合わない水は、紅茶をいれるのに邪魔な条件、成分などが紅茶を台無しにしてしまいます。

イ)「紅茶向きの水」とは?

(1)ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど)を適度に(20~100mg/リッター)含むこと。(これを「軟水」と言います)
(2)空気(酸素)を多く含むこと。
(3)できればpHは、8.0~8.5 (中性は7.0ですので、少しアルカリ寄りです)が理想的。

ロ)「紅茶に不向きな水」とは?

(1)ミネラル類が全く含まれていないか、100mg/リッター以上含む水。(「硬水」と言います)
(2)空気(酸素)が極めて少ないか、全く含まれていない水。
(3)pHが低すぎるか、あるいは高すぎる水。

(注) pH=年よりは「ペーハー」とドイツ語読みしますが、今では「ピーエッチ」と読みます。

1.0~14.0までの段階があり、7.0が中性で、それより下は酸性、高いのはアルカリ性です。

たとえば、「胃酸」は1.8~2.0で強い酸性、レモンも同じぐらいです。石鹸は9.0~10.0で、アルカリ性です。

どんな水が紅茶に良いのか?

結論: 日本では、「水道水」に軍配が上がる。ほぼ何処でも手に入る利便性、そして経済性、また農薬や、微生物などに対する「安全性」を含めて紅茶に最適と言えます。

そしておそらく世界中の水道水の中でも一番紅茶に適していると(個人的には)思います。

それは先にあげた条件を充分満たしているからです。意外とこの3条件を満たす水は少ないものです。

(但し、水道水のpHは、先に話した通り、幅がありますので、場所によっては、煮沸時間で調整したほうがいいでしょう)

次に良い水は、少なくなりまたが、「浅い井戸水」です。(ミネラル類がそれほど多くないからです)

ちなみにお店では酸素を含ませるためにこれくらいの勢いで水をいれます。全開です。

どんな水が紅茶に不向きか?

イ)ナチュラル・ミネラル・ウォーター

体に必要なミネラル類の補充が目的で、健康志向が第一の商品です。沸かして飲む前提の水ではありません。
ですから、ミネラル類が一般に高く、空気(酸素)も殆んど入っていませんので、この水を使って紅茶を入れると、紅茶の成分がミネラル類と反応して、水色が黒ずんだり、香りも抑えられて、新鮮感の無い紅茶になります。
(因みに、この水を沸かして飲むと、決して旨いとはいえません。やはり冷たいから旨く感じ、そして飲めるのです)

ロ)純水 (真水)

ナチュラル・ミネラル・ウォーターとは逆に、全くミネラル類が無い為、紅茶の中の成分と反応出来ませんので、水色は、ピンク系になり、味もボンヤリとして、味気の無い紅茶となります。
(紅茶は、茶葉中の成分と、水の中の微量なミネラルとが反応して、香成分、色などが溶出されるからです。だから、適度なミネラル類を含むことは大変重要なポイントになるのです)

ハ)その他「硬水」と呼ばれるミネラル・ウォーター類(100mg/リッター以上を含む水)

特に、ヨーロッパから輸入される水は(ボルビックを除いて)カルシュウム類が多いのです。
完全に硬水で、紅茶の特質が引き出せず、紅茶には不向きです。
意外にも、紅茶産地のセイロン、インドなども同じなのです。

「紅茶をいれる水」についての続きは次回で。今日はこのへんで!

(ロンドンティールーム オンラインマガジン編集部)

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