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紅茶の種類

ブレンドとミックス

さて、今日は「紅茶」のブレンドとミックスについて書いてみます。
紅茶の「ブレンド」と「ミックス」は大きな違いがあります。その辺の事情をよく分かってもらいたいのです。

ブレンドの目的は大きく分けて3つ有ります。
イ)目的とする特定の安定した品質の茶葉を作るため。
ロ)安定した価格とするため。
ハ)消費地の「水」に合う茶を作るため。

解説:

イ)安定した品質の茶葉を作る・・・

単一の茶園から製造された茶葉でも、月ごとに、週毎に、更に日ごとに微妙に品質が異なります。消費者にとっては如何にも迷惑なことである。と言う訳で、単一の茶園の茶葉だけでは安定した品質の製品が出来ない為、複数の茶葉を「配合」して「特定の品質の茶」を作り上げることが大事です。これがブレンドを行う一番の理由です。考えても見て下さい。規格品である製品の品質がバラバラで、価格だけが一定では消費者の信頼は得られないでしょう?
(逆に単一茶園で、特定の時期に採れた茶葉をブレンド無しで楽しむ場合があります。インド・ダージリンの1st Flush, 2nd Flush, セイロン・ヌワラエリヤのピーク・クオリティー、セイロン・ウバ茶などです)

ロ)安定した価格とする・・・

消費者にとっては「安定した品質、価格」は商品を購入する際の最重要事項です。紅茶は通常セイロンなり、インドなり、ケニヤなりのティー・オークションを通じて買い付けますが、買い付ける前に見本を試飲して確かめます。
しかしオークションは競争ですから欲しい茶葉が確実に手に入るとは限りません。次にオークションで落札した茶葉を再度審査します。当然ながら使いたくても高値の為オークションで取れない場合は、他の安い茶葉でバランスを取ることもします。
通常は、予定販売価格が決まっていますので、品質のバランスを取る為には場合に依っては、20~30の茶園の茶葉をブレンドすることが当たり前になります。
(例えば、絵画で好みの色を出したい時、複数の色を、その量を加減しながら、試行錯誤しながら混ぜ目的の色を作り出すのと似ています。)

ハ) 消費地の水に合う茶葉・・・

紅茶の香り、味、水色は「水」に依って大きく変わってきます。従って原則としてブレンドは消費地の水を使って行わなければなりません。セイロン、インド、ケニヤ等は硬水で、紅茶向きの水とは言えません。幸いに日本の水道水は、軟水(硬度は、100ml/リッター以下で、PH値のややアルカリ寄り)ですから、紅茶には最適です。産地で「良し」と判定された茶葉も、日本の水で抽出したら、色も、味も思った茶葉でなかったと言うのはよくあるケースです。従って、原則は「消費地の水で審査」することです。
硬水では、水色の色は、黒っぽくなり、渋みは薄くなり、平凡な特徴のない味になります。硬水中のカルシュームや、マグネシュームが紅茶のタンニンと結合して化学変化を起こす為です。

さて、ブレンドの目的は分かっていただけたでしょうか?
次に、ブレンド法の基本です。勿論家庭で出来るわけではありませんので、紅茶の知識として読んで頂ければと思います。

ブレンド法:

現在ではほとんどが、ドラム回転式の「ブレンダー」と呼ばれる混合機を使用します。ドラムの内側に何枚かの羽が付いており、それを回転させることで混合します。大工場のブレンダーは一度に1000kg ~1,500kgsの能力の機械もあります。ここで一番大事なことは、まず、中の茶葉の温度を上げないことです。温度が上がると茶葉の劣化が起こりますので。それには時間のコントロールと、温度の管理が重要です。せいぜい20分、30℃位でしょうか?
次に、茶葉のサイズを揃えることです。大きさがバラバラでは折角ブレンドしても、箱などに詰めた後、小さい茶葉が下にかたまり、大きい茶葉は上にたまりますので、これも大事です。

ブレンダーについて:

ブレンダー(紅茶鑑定士)は、以上のブレンドで中心的な役割を担います。
既に、ブレンドが紅茶の一般流通で如何に大事か分かって頂きましたが、その中でブレンド作業のほとんどを担う「ブレンダー」(紅茶鑑定士)の役割は大変なものがあります。大手企業では一日200~300種もの紅茶葉を鑑定します。それを5~6年と続け、過去の紅茶を記憶し、新しい紅茶との相性を考える訳です。正に紅茶企業の「命」です。そんなブレンダーから生み出された紅茶のレシピ(処方箋)は当然「○秘」となり、企業の財産となります。

皆さん、「ブレンドは安ものの紅茶を混ぜて安く作る為」との認識を改めて下さい。
紅茶企業が「命」をかけて作り出している茶葉なのですから。

まとめ:

これまでの説明でだいたいお分かりの通り、ブレンドは明確に特定の目指す茶葉があり、その為に各種茶葉を、消費地の水、予定販売価格などを念頭に混ぜます。
そして、いつ飲んでも安定した味の茶葉を作らねばなりませんので、「レシピ」(処方箋)が大事になります。(これが大手紅茶メーカーの財産になります。その企業にしか出来ないブレンド紅茶と言うことで、企業の「○秘」となる訳です。)

しかし、ミックスは、特定の目的は無くて、また販売するのが目的ではありませんので、販売価格を気にすることは有りません。単純に珍しい「味」を作り出すだけの作業です。また、販売目的でありませんので、大型のブレンダーも使いません。
机上の手作業でその場限りの味を作り出せればよいのです。レシピと呼ばれるものは有りません。紅茶好きが、机上で混ぜ合わせることなどは「ミックス」です。

著名なブレンド品:

1)リプトン「エキストラ・クオリティー」(通称―青缶 )
最も著名なブレンド紅茶です。今では缶入りの青缶はマーケットで見るのは少なくなりました。

2)マデマNo. 619, 622, 629 等
(マデマ・スタンダード・ティー)の一種。リプトン・セイロン社の関係会社の内の一社「マデマ・トレーディング社」のバラ茶に付けるブランド。この番号を言えば、世界中で安定したバラ茶が確保できる。

(ロンドンティールーム オンラインマガジン編集部)

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