Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2022.03.04

シルバー製アンティークティーポットを茶こし付きに改良してみました!

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このティーポットだけに合うよう特注茶こしを作ってみた!

ロンドンティールームではアンティークのシルバーティーポットを取り扱っていますが、当店では茶こし付きのティーポットで特許を取っていることもあるためか、
「アンティークのティーポットに茶こし付きのものはありませんか?」
といったお問い合わせをいただくことがあります。

シルバー製のティーポットの場合、ティーバッグで紅茶を淹れるか、またはティーストレーナーを使用するのが一般的です。
しかし、茶こし付きのアンティーク商品のご要望を多くいただくうちに、当店マスターの遊び心に火がつきました。
当店で現在販売中の1人用ステンレスティーポットにも茶こし付きの商品化のご要望も多いことから、ついに試験的に製作することに!

当店には、英国製をはじめとした多くのシルバー製アンティークを30年以上取り扱っているからこその発想と、特許庁に認められた「紅茶を美味しく淹れるための」ティーポット内蔵茶こし製作のノウハウがあります。
茶こしの製造を依頼している取引先とタッグを組み試行錯誤の上で完成したのが、この茶こし付きのシルバー製アンティークティーポットです。

当店のオリジナルティーポットの茶こしの発想を基に、このティーポットの高さに合うよう改良を重ねました。
ティーポットの底にしっかりと届く設計にしているので、茶葉の抽出をしっかり促してくれます。
また、茶こしを出す時も非常にスムーズに引き抜きやすくなっており、使い勝手も追及した仕様になっています。

ティーポットの改良点

今回のシルバーティーポットを茶こし付きに改良するにあたり、知識と技術力はもちろんのこと、かなりの時間と労力を要しました。
「ティーポットの高さに合う茶こしを作れば良い」という問題ではなく、完成させるためには数々の条件をクリアする必要があります。

まず、茶こしが付けられるかどうかはティーポットの形によって決まります
左側のティーポットがイギリスなどでも一般的に見られるアンティークティーポットのデザイン、そして右側のティーポットが今回茶こし付きに改良したアンティークティーポットです。

基本的なシルバー製のティーポットのデザインは左側のティーポットのように折り返しがほとんどなく、開口部の径がティーポットの幅とほとんど同じサイズのデザインです。
折り返しがないと、フタを閉めた時に茶こしが引っ掛かる原因となります。
今回改良に使用した右側のティーポットのようなデザインは稀で、アンティークのセラーからたまたま薦めてもらっていなければ見つけられなかった商品でした。

しかし、折り返しがあるティーポットであれば全て改良できるかというと、また別の問題が浮かび上がります。

シルバー製アンティークのティーポットは開口部とフタにヒンジ( 蝶番 )がついているデザインが一般的です。
またヒンジ付きのティーポットのほとんどが、写真のティーポットのように取っ手側にヒンジが付けられています。

ロンドンティールームでは「持ち上げやすさを考えると、茶こしには取っ手が必要だ」と考えていますが、茶こしに取っ手が付ければ今度はヒンジが引っ掛かることは避けられなくなります。
ヒンジが引っ掛からないように茶こしの取っ手位置を変えるなども考えましたが、「フタが浮いて閉まりきらない」「見た目が不恰好」といった欠点に目を瞑ることができませんでした。

そこでマスターは特許取得をしたステンレス製茶こし付きティーポットの開発ノウハウを基に、「ヒンジの位置の付け替え」を試みるよう、職人と交渉することにしました。
しかし、ヒンジの位置変更はまさに「言うは易く行うは難し」。
何せ1点ものアンティークですから失敗も許されず、金物の街「新潟県燕市」の熟練職人だからこそ実現できた、高度な技術力が必要とされる加工です。

更に、茶こしにも一工夫が必要です。
ロンドンティールームが開発した丸取っ手の茶こしを基に、ティーポットの高さや取り出しやすさを考慮してサイズを大幅に改変する必要がありました。
「紅茶を淹れる」という本来の目的を満たすためには絶妙なバランス取りが非常に難しいポイントです。

既にデザインとして完成されたものを更に改装して作り上げるのは、一筋縄ではいかぬ難しさがあります。
このように紆余曲折を経てようやっと完成したのが、茶こし付きのアンティークティーポットです。

ようやっと完成した、茶こし付きのアンティークティーポット

先にも述べたように茶こしを付けられるデザインのティーポットはほんの一握りで、巡り合えたとしてもアンティーク品という性質上、当然デザインやティーポットの状態はまちまちです。
また、元のティーポットの良さやアンティークらしさを残しつつ、水漏れ等の問題もクリアしなければなりません。
更に、本来の目的である「おいしい紅茶を淹れる」ためには茶こし自体の性能にもこだわりが必要なことから、職人に製作してもらうには毎回オーダーメイド製作の特注品扱いとなります。

ここまで行うと、シルバー製のアンティークティーポットを新しく購入するよりもコストが非常にかかってしまいます。

アンティークやティーポットの知識・ノウハウに加えて技術力が必要で、毎回ティーポットごとにオーダーメイドでの制作、となるとコストと労力に全く見合わず、現実的に見ると商品化しての販売は難しいでしょう。

そのため、この茶こし付きシルバーティーポットは現品限りの一点物商品となります。
消耗品ということもあり、内蔵の茶こしは交換用もあわせて全部で3点付属いたしますが、この商品の高さに合わせた仕様で設計しているため、商品お引渡し後に新たに製作することができません。
また、現在販売中の当店のオリジナル茶こしは高さが合わないため使用できませんので、予めご了承ください。
摩耗や破損等でスペアの茶こしを2点とも破棄したあとのティーポットご利用時は、ティーバッグで紅茶を淹れることを強くおすすめいたします。

もし上記の条件であっても「ぜひ購入したい」という方、商品の詳細についてご質問がある場合は、下記リンクのお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

お問い合わせはこちらから!

お問い合わせフォームはHPとオンラインショップ共通となっています。
題名やお問い合わせ内容は詳細にご記入いただきますよう、ご協力をお願いいたします。

また、今回の茶こし付きアンティークティーポットの製作ノウハウを得られたことから、茶こし付きの1人用ステンレスティーポットの開発も検討する話が出ております。
もし開発が決定しましたらまたお知らせいたします!

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