Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2014.05.14

セイロン紅茶の旅日記:【2013編 第3回】 セイロン紅茶生産、価格事情

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さて、今回は少し硬い話です。
セイロン紅茶の生産、オークション価格などの推移を最近の資料から説明します。皆さんの生産地把握の一助になればと思います。

①生産量

高地産、中地産、低地産に分かれます。生産量は低地産が最大です。
高地産の産地=Dimbula, Nuwara Eliya, Uva, Uda Pussellawa(22-24%)
中地産の産地=Kandy, (15-16%)
低地産の産地=Ruhuna, Sabaragamuwa (60-62% )
*高地、中地、低地の区別は工場所在の標高で以下のように決められている。
低地:610m 以下、中地:610~1220m, 高地:1220m以上

*輸出先:ロシア、イラン、シリア、イラク、トルコ、リビア、U.A.E., アゼルバイジャン、日本、ヨルダンの10カ国で約66%を占めます
*生産量は、インド(<約1,000,000トン)、ケニヤ(約370,000トン)に次ぐ世界第3位。

 

②コロンボ・オークション相場の動き

①生産量は天候次第である。セイロンはⅠ-3月、7-9月のモンスーン(偏西風)があるが、このモンスーンの開始時期や、強さ、雨の量などにより高地産茶葉の生産量は元より、品質にも影響を及ぼす。中地、低地産ではモンスーンは大きな影響ないが、ここ数年前からいわる異常気象がセイロンにも現れて各地の大雨など影響が少なからず出始めている。
今年の高地では、5月頃より通常なら乾燥した気候となるが、雨、風が強く茶葉の摘採出来ず、収獲量が半分になっていると嘆いていた(以上は7月にセイロンに出張した際の情報)従って、コロンボのオークションでも例年なら落ち着く相場が、上昇を続けており、9月現在も更なる高値を目指している。

②オークション相場動向

2009年を100としたら、2012年末の相場は高地産=116、中地産=112、低地産=104位(年平均)である。特に日本の購入する高地産が上昇していることがおわかりになるだろう。原因はその時々で違うが、第一に世界的に見て供給、需要バランスが極めて拮抗しており、わずかな生産減で時期に依っては相場は高騰する。
今後世界の紅茶消費は安価な飲料用として増え続けており、生産は直ぐに増加できず、主産地の相場は通年比較では、下がることは期待できないだろう。日本への輸入価格は、現地相場上昇に加えて、「円安」あり、相当原価アップになっていることは間違いない。

以下の写真は、Dimbula地区よりNuwara eliya地区への途中の写真。大木が激しい風、雨でなぎ倒されており、道路は陥没、山肌はむき出しとなっていた。

およそ60-70cmは有ろうかと言う大木が6月の激しい風雨で倒されている。

倒れた大木を住民が薪にしようと切り出している。

【参考情報】
茶摘女性の賃金は、通常月にUS$110(約¥11,000)位だが、雨の為摘採が出来ず今ではUS$50位であり、工場も茶葉が入らず苦しいが、茶摘労働者も生活が苦しくなっている。因みに一日当たりの賃金は通常ではおおよそRs.450(約350)位である。この数字は、この7月にセイロンの現地で聴取した情報ゆえ、間違いない。
生活費が安いとはいえ、日本人が想像している以上に茶園の生活は苦しい。皆さん、紅茶を飲む時はこんな苦労にも想いを馳せて飲んで頂ければ、紅茶を扱う人間として有難い。

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