Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2016.03.06

海を渡ってお家に紅茶が届くまで

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今回は紅茶がどのように取引され、私たちに届くのかをお送りします。

紅茶は、生産地の茶園で製造されますが、輸入されてそのまま「製品」として消費者に販売されるのはきわめて稀です。
様々な「手」が入って、「製品」となります

以下は輸入国で製品化されるまでのおおよその経路=「手」です。

1:茶園からの見本提出
2:ブローカー
3:オークション(入札)
( > 生産国内での加工者による製品化 > 国内販売や輸出 )
4:生産国からの輸出
5:輸入国の税関、検疫
6:加工者のブレンド
7:製品化、ショップ販売

 

1. 茶園からの見本提出~ブローカー(代理店)へ

茶園がオークションに出したい時は先ず代理店=ブローカーに依頼してオークション(セリ、入札)にかけてもらいます。

ブローカーは、茶園のサンプルを国内外の取引先に提出して、注文をもらい(数量、オークションの落札、価格条件などが付く)セリで落札することになります。

茶園の関心はやはり自社の茶葉の相場です。

落札価格は、すなわち茶葉に対する評価=茶園の評価となるからです。

ブローカーは、独自の鑑定(tasting)も行い、取引相場も予想しますが、最良品質茶葉が出る季節は、競争で予想をはるかに上回る価格になることが珍しくありません

2.オークション

紅茶産地ではたいてい公的オークション場があります。

・セイロン=コロンボ
・インド=カル、カッタ、コーチン
・ケニヤ=モンバサ

なお、各国とも数量の制限付きですが、Private Sale(茶園が購買希望者に対して直接販売すること)もあります。

生産量が多くオークション相場が低迷している時は、Private Sale が多くなり、生産量が少ないときは、政府がPrivate Sale の差し止めする場合もあります。

3. 生産国からの輸出

輸出国では、様々な輸出条件(検疫、産地確認、各種書類整等)がパスして初めて船積みされます。

特にセイロン、インドなどは世界の主産地ですから、ブランド、品質などで各国の信用を失うことは出来ませんので、政府の各種検査は慎重に行われます。

4. 輸入国の税関、検疫

輸入国では、特に植物検疫が厳しく行われます。現在の日本の場合、厚生労働省=植物検疫所が行っています。

決められた手順により残留農薬基準に合っているかなども、一定の頻度で抜き取りによる実際の検査が行われます。

税関では、違法な商品、取引の有無が審査されます。商品が申告書類と合っているか、違法な取引内容ではないかなどです。

5. 加工者のブレンドによる商品化からショップ販売へ

加工者は手に入れた「原料茶」を先ず、見本採りして、オークションで調べた品質と合致しているかどうか、またブレンド(配合)に先立ち茶葉の味、香り、色などの状態、サイズ確認など「ティー・テイスター」によりtasting 鑑定します。

ブレンドの目的(以下を参照)達成の為に最も重要な過程です。
この後「製品のレシピ=配合表」を作成します。

レシピ作成および実際のブレンド作業は単純な「混合」=ミックスとは全く違います。

ブレンドの目的

1:消費地の「水」に最も適した配合をすること
2:それぞれの原料茶の特徴を活かして、狙いの製品を作ること
3:ばらつきのある原料茶を、一定の安定した品質の製品にすること

ミックスとは、市場に流通できる製品を作るわけではなく、単に自分に好みの紅茶を一時的に作ることをいいます。
ですので一般の消費者に売るという前提はありませんので、価格も、水も安定性も関係ない訳です。

工場では、レシピに基づき、「ブレンディング・マシーン」でブレンドします。
※温度の上昇による紅茶の変質や、均一なブレンドが重要です。

その後包装、製品化されます。製品はもう一度実際の消費者の目線で検査、試飲検査され、販売店へ流れ、お客さまへたどり着くわけです。

以上が簡単な紅茶が販売されるまでの流れとなります。

実際には、さらに細かい経路、手順で皆様の「手」に届きます。
このようなことも頭に置いて買い物をして頂けると、皆さんの商品を選択する「目」は一段と豊かに、幅が広くなることになると思います。

インドのダージリン、セイロンのウバ、中国のキーマン(世界の3大銘茶)だけが紅茶ではなく、ブレンド商品の中から必ずやダージリン、ウバ、キームンとは違う愛好の紅茶が見つかるはずです。

この機会にぜひ様々な紅茶を探してみてください。

 

(ロンドンティールーム オンラインマガジン編集部)

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