そんな訳で(どんな訳か?)今回は「紅茶を観る」と題しましてお話します。
「観る」としたのは、紅茶を「観察」する意味からです。つまりただ漫然と「見る」のではなく、「気持ちを入れて見る」と言う意味を含んでいます。
紅茶をきちんと鑑定するには、ある人によれば10万回の試飲をして何とか分かりかけると言います。
でも一般の人は、できるはずがありません。せめてここにお話ししたことぐらいの知識があれば1000回分ぐらいになるかも?そして茶葉選択の幅も広がるでしょう。
1. 「紅茶葉」について
茶葉のグレード
茶葉はいろんなサイズ(紅茶の専門用語では「グレード」と言います。)があります。
用語の「グレード」は、品質の善し悪しを表しているのではなく、単に紅茶葉の大きさを言いますので注意してください。
また、このグレードは、国際基準があるわけでありません。だから紅茶のメーカー、生産国により若干の違いもあることも念頭に置いてください。
茶葉のグレードは、大まかに3種類あります。
OP
大きい茶葉で、葉の形状が残っています。オー・ピーと呼びます。リーフ・タイプとも言います。ダージリンがその代表です
BOP
細かい茶葉。茶葉は細かくつぶし、引き裂いてあります。ビーオーピーと呼びます。セイロンの茶葉はこれが主流です
CTC
シー・ティー・シーです。茶葉を押しつぶし、引き裂き、丸めるの英語の頭文字Crushing, Tearing, Curlingから取ってあります。製造時間が短縮できる、抽出時間が短縮できる、濃い紅茶液ができるなどの特徴を持っています。アッサム、ケニヤ産の紅茶が代表です。
茶葉の色
次に、茶葉の「色」です。
色の違いは、タンニンの含有量、発酵時間の違い、産地の標高、産地の気候(降雨量の多寡)、季節など様々な要因があります。
充分な発酵時間を経て作られた茶葉は、「濃い茶褐色」です。セイロンのディンブラ、ダージリンの2nd Flush、ケニヤなどが代表です。また、アッサムはタンニンが多く「濃褐色」です。セイロンの中・低地産の茶葉もこれに該当します。
セイロンの高地産であるヌワラ・エリヤはタンニン含有量も少なめですから「濃いめの明るい茶褐色」となっています。
ダージリンの1st Flush (その年の最初の新芽)は、グリーンニシュ(浅緑色)です。
これは主な消費者であるヨーロッパの好みにより発酵時間を短め目で製造しているからです。しかし、2nd Flushは上記の如く、「充分な発酵時間で濃い茶褐色」です。
ダージリンは秋になると穏やかで落ち着いた「濃い目の赤銅色」となります。
茶葉の香り
茶葉の香りは、どっしりとして新鮮で、深みのある匂いが良い。
そして「カビ臭」「腐敗臭」「オイル臭」「その他の異臭」をチェックしましょう。
なぜなら、茶葉は、きわめて強い「吸湿性」「吸着性」があるので、わずかな「異臭」も取り込んで、紅茶を台無しにするからです。つぎに、劣化臭です。これは新鮮な香りの反対ですから、香りが薄く頼りない感じです。
Tea Bag の場合は、上記の選択の余地はありませんから、あくまで抽出した液からの判定になります。念のため。
前編では茶葉の見た目について書いてみました。後編では入れた後の状態について書いてみたいと思います。
(ロンドンティールーム オンラインマガジン編集部)