
紅茶の産地についてまとめるシリーズ、第3段。
セイロンティーとアッサムティー、紅茶界に名だたる2大巨頭を紹介したあとで、語るべき産地があるのか?と疑問に思った方もいることでしょう。
そこでご紹介するのが、アフリカ、特にケニアの紅茶です。
スリランカやインドより歴史は浅いものの、市場に出回っている量はもっとも多いという、隠れた名産地なんですね。
今回は、そんなアフリカの紅茶についてまとめてみることにします。
世界一の輸出量を誇るアフリカ

意外に思うかもしれませんが、実はアフリカは紅茶の輸出量が世界一。ケニアだけでも世界一の輸出量を誇っています。アフリカの著名な生産地をすべて合わせると、世界で約3割のシェアを担っているんだとか。
これほど流通している理由は、アフリカ紅茶そのものに人気があるためです。また、香りや味にクセがないため、ブレンドに使いやすいのも理由のひとつでしょう。
皆さんがよく知っているであろう、リプトンのイエローラベルもケニア産の紅茶。正確には、ケニア紅茶を中心としたブレンドになっています。
ケニア紅茶の特徴

アフリカ紅茶の中からケニア紅茶を代表として、特徴を解説します。
- 水色が鮮やかな赤色
- 青くコクのある風味
- 茶葉のサイズは細かめ
ケニア紅茶の魅力は、「鮮紅色」といわれる美しい水色。宝石のルビーを思わせるような紅色の紅茶は、見た目も魅力的です。
一方で香りは青く、やや若い印象を受けます。口に含むと、渋みと酸味が強く主張してくるので、ストレートで飲むのはやや厳しいかもしれません。コクも十分にあるので、ミルクティー向きだといえます。
生産や加工をする際も、ミルクティーにすることを見越して、CTCに加工されるケースが多い様子。また、他の茶葉とのブレンドに使われることもあります。
ケニア紅茶の生育環境

ケニア紅茶は、標高1500m~2400mの高地で育ちます。スリランカでいうところの、ハイグロウンにあたる高度です。赤道直下に位置するケニアでは日照時間の変化が少なく、安定して日が当たります。
さらに降雨量も多く、茶葉の生育に必要な温度・湿度の条件がそろった国なのです。このような好条件からか、年中茶葉の収穫ができるため、生産量も安定しています。
また、紫外線が多い環境で育つためか、ケニアの一部地域では紫色をした茶葉が収穫できます。この紫色の茶葉は、通常の茶葉よりも多くのポリフェノールを含んでおり、栄養成分的にも優れているようです。
アフリカで紅茶栽培をするわけ

アフリカで紅茶の栽培を始めたのも、紅茶大国たるイギリスです。スリランカやインドという2大産地がありながら、なぜ新しい産地を求めたのでしょうか?その理由は、大きく3つあります。
- 国際的な紅茶の輸出制限
- スリランカ・インドの独立
- イギリス国内のミルクティー需要
国際的な紅茶の輸出制限
ひとつめの理由が、1933年の国際的な輸出制限です。当時、主に紅茶を扱っていたのはイギリスとオランダの2か国でした。紅茶を加工して売るまでは良かったのですが、利益を求めすぎるあまり、供給が需要を上回ってしまったのです。
結果、茶葉の値段は急落。市場の衰退を防ぐため、ITC(International Tea Community)が中心となって、輸出規制がされることになります。
そこでイギリスは、まだ規制が厳しくなかったアフリカで生産を始めることで、利益を確保しようと考えたのです。1900年代初頭に、英国人入植者 C. G. ケインが保険として、ケニアにチャノキを持ち込んでいたのも幸運でした。
インドとセイロンの独立
次に、もともと植民地だったインドとセイロンの独立が挙げられます。1940年代に植民地から独立国に変わったことで、植民地優遇税制や土地無償供与が終了。同時に、人件費や税金が跳ね上がり、それまでのような利益を上げるのが難しくなりました。
代わりの産地として白羽の矢がたったのが、少しずつ紅茶産業が発展していたアフリカだったのです。
イギリス国内のミルクティー需要

最後の理由は、アフリカの紅茶がミルクティー向きであること。力強く青い風味を持つアフリカの紅茶は、ミルクとの相性抜群。ブレンド用の茶葉としても優秀で、主にアッサム紅茶とのブレンドに使われます。
美しい水色がミルクに溶け込んでいく様子は、華やかで綺麗に見えるでしょう。「ブラックティー」と呼ばれるほど水色が真っ黒になるイギリスでは、少しでも水色が鮮やかな紅茶を好むのかもしれませんね。
成熟していくアフリカ紅茶を楽しんでみよう

アフリカの紅茶は、若く力強い風味と、鮮やかな水色が特徴。世界一の輸出量を誇るだけあり、スリランカやインド紅茶に負けないポテンシャルを秘めています。
とはいえアフリカの紅茶は、スリランカやインドよりも茶樹が若く、青い風味が残っています。インドやスリランカの植樹が1800年代中ごろに対して、アフリカでの生産開始は1900年代の中ごろからです。
数十年間の樹齢は、紅茶に落ち着きと深みをもたらします。この先アフリカの茶樹が成熟していくごとに、少しずつ味が落ち着いてくることでしょう。アフリカ紅茶を愛飲して、変わっていく味を体験するのも一興かもしれません。


