Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2020.03.13

伝説的紅茶専門店「ティークリッパー」のお話

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今回は、東京の紅茶専門店の中でも特に私の中で印象的な存在だったお店をご紹介します。

伝説的紅茶専門店「ティー・クリッパー」

私が英国紅茶ロンドンティールームを立ち上げる1980年頃。
東京・吉祥寺に紅茶専門店「ティー・クリッパー」はありました。 伝説的なティールームとしてご存知の方も多くいらっしゃるかと思います。

私が「ティーハウス・ムジカ」で働き始めて、まだ間もないころ。
マスターの堀江さんから「ティー・クリッパー」の話をしてもらったことがあります。 そのオーナーの話が非常に印象として残っていました。

「ティー・クリッパー」オーナーの佐藤忠臣さんは、とにかく紅茶に対してのこだわりが非常に強くあったそうです。

メニューは、産地直輸入のストレートティーを主力に構成。
喫茶で需要の高いコーヒーは一切扱いませんでした。
そうした姿勢には、”紅茶の香りを大切にしたい”というオーナーの心とこだわりがうかがわれます。

そんなオーナーを、堀江さんも「東京のティー・クリッパーの店主はすごい人だ」と一目置いていました。

私が印象に残っている理由

堀江さんが認める存在だからという理由もありますが、私の中で「ティー・クリッパー」が印象的存在だったのにはもう1つ理由があります。

私自身は「ティー・クリッパー」を訪れたことはありませんが、シンパシーを感じていました。
それは、スリランカなどから輸入された紅茶の中から、日本の水に合うかどうかを必ずチェックし、良い茶葉を選んでいたということ。
現地で良い味だからと持ち帰ったとしても、日本でも良い味か出るかはまた別の話です。 大きな違いは「水」にあります。

スリランカなどの地域は「硬水」であるのに対し、日本は「軟水」です。
「水の違い」は、紅茶の抽出にも大きく左右されます。

「日本の水で抽出した時に美味しい紅茶を選ぶ」ことは、非常に重要なのです。

私はそこに大きなこだわりを持っていました。 だからこそ、「ティー・クリッパー」店主のエピソードを聞いた時、非常に共感を覚えたのでした。

もう店舗はなくなっていると聞いて、一抹のさみしさを感じていますが、「伝説的な紅茶専門店」として皆さんの心に刻まれていることでしょう。

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