Tea Story 読めばきっと好きになる紅茶のお話

2016.03.06

紅茶の「ブレンド」について

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茶園で収穫・加工された茶葉は通常「ブレンド」されてから商品化されます。今回はこの紅茶のブレンドについて書きたいと思います。

1. ブレンドの意義と目的

原料茶葉は季節、茶園で大きく価格も違い、味、香り、色なども異なります。よって、以下の目的でブレンドを行います。

イ)目的とする製品の品質を常に一定にするため。
ロ)不安定な原料価格から、安定した価格の製品にするため。
ハ)消費地の「水」に合った最適な製品を作るため。

たとえば大手メーカーでも、収穫の季節ごとに商品の味が変わると問題です。おいしくなる分にはいいのですが、前年より味が落ちたとなるとお客が離れることになります。

そのため優秀なブレンダーが商品としての味を数百年にわたり変わらないようにブレンドしている商品もあります。

味が落ちないように、ということと同時に、商品(ブランド)としての味が変わらないようにブレンドする、といった意義もあります。

(注)ブレンド前の茶葉をそのまま楽しむ場合もあります。例えばダージリンの1st Flush, Nuwara Eliya のPeak Quality、Uva茶のQuality Seasonものなどです。しかし日本では紅茶は、昔からブレンドされた製品で一般に普及しましたので、単独茶葉を楽しむ事はまだ少ないようです。

2. レシピー( Recipe )

ブレンドする前に、ブレンドする茶葉を机上で少量試作して試飲します。それで目的のブレンドが出来たら、試作機で少量試作をします。

OKであれば、このブレンド茶葉の割合を記録して、本格ブレンドの指示となります。

この指示(茶葉の種類、割合を示したもの)は「レシピー」(処方箋 Recipe ) と呼ばれる、紅茶メーカーにとって貴重な知的財産です。

3. ブレンダー ( Blender )

目的のブレンド紅茶を作成する職人。あらゆる茶葉を鑑定して、どの茶葉を、どれだけの割合でブレンドしたら目的の最終製品が出来るかをその人の「官能」検査により組み立てます。

従って、ブレンダーは茶葉に対する長年の修行、経験が必要で、紅茶メーカーでは、世間には出ませんが最重要な「職人」と言えます。

4. ブレンド機( Blending Machine )

機械は大から小まであります。写真-1の様な大きな筒型のドラムでは、ドラムの内壁に高さ20cm程の羽が付いていて、ドラムが回転して茶葉を撹拌して混ぜます。

撹拌時間は、茶葉が熱で品質劣化するのを避けるため10~15分程度とします。(出来る限り同じサイズの茶葉が良い。ブレンドが均一に出来る為です)

写真のドラムは1,500kgsの容量です。(ブレンド出来る最小容量は100kgs程度)メーカーに依ってはLeafy Grade ( OP タイプ、Pekoe タイプなど)は、茶葉の大きさが一定ではないので適正なブレンドが出来ず、写真―2と同じ大きさのブレンド機 (100kgs程度の容量)の小LOTで行います。

(参考)フレーバー紅茶は、紅茶をブレンド後に香料を吹き付けてブレンド機にかけます。その際は小型のブレンド機(写真-2)を使用します。

▲写真-1

▲2階のホッパーから原料茶葉投入。階下のブレンド機に流れる

▲写真-2

▲ドラム下部から着香した茶葉排出の様子

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