今回は、手軽に作れることから人気の水出し紅茶に関する話題です。 ロンドンティールームのマスターの経験に基づき、水出し紅茶について、説明いたします。
水出しコーヒーの流行
1975~76年ごろ、コーヒー専門店などでは水出しコーヒーが流行していましたが、水出し紅茶は聞いたことはありません。
コーヒーは高温で焙煎しますが、紅茶は製造工程で殺菌するほどの高温で処理されてはいません。(紅茶の製造工程は、こちらの記事をご確認ください。)
その当時、コーヒー・紅茶専門店の間では、紅茶は熱湯で抽出するのが常識で、水出しという考えはありませんでした。 当時、カフェ・喫茶等の指南書として有名であった、旭屋書店の喫茶&スナックや、柴田書店の飲食店経営の専門書にも、水出し紅茶の情報はありませんでした。
インターネットの普及に伴う、茶葉販売サイトの増加
しかし、インターネットの通販が普及し始めた2000年ごろから、異業種の業者による紅茶の販売が見られるようになりました。そうした中で、徐々に水出し紅茶が広まったと推定されます。
家庭でも簡単にアイスティーが作れることが好評を博し、取り扱うお店も増えていきました。
大手メーカーの「水出し紅茶」への対応
こうした状況を受けて、大手の紅茶メーカーも「水出し紅茶」に参入していきました。大手メーカーでは、自社内で殺菌処理を行い、安全性を担保したうえで水出し紅茶の販売をしています。
しかし、インターネット上で見かける紅茶の中には、殺菌処理されないまま販売されている水出し紅茶もありますので、自己責任で十分にご注意ください。
「水出し紅茶=危険」というわけではない
現状、水出し紅茶は問題視されていませんが、殺菌処理をしていない水出し紅茶の安全性は担保されていません。 「水出し紅茶=危険」という話ではなく、「問題が起こる可能性がある」という話です。「海外で生水は飲まないように」という注意喚起と似たようなものです。
※お詫びと訂正※ 以前、Twitterで「殺菌処理されていない茶葉でも、熱湯をかければ問題ない」という趣旨の情報を公開しましたが、不正確な情報のため、訂正いたします。「殺菌処理の有無に関わらず、ティーポットで熱湯で抽出する分には問題ない」が正しい内容です。Twitterの担当者がその趣旨を取り違え、正確でない情報を公開してしまいました。この場を借りて、お詫び申し上げます。
ロンドンティールームでも、お客様からのご要望に応え、殺菌処理された水出し紅茶の販売を、2年ほど前から始めています。
次回は、水出し紅茶の淹れ方をご説明します。