ロンドンティールーム実店舗の人気No.1メニュー「ロイヤルミルクティー」
たいへんありがたいことに、ロイヤルミルクティーを飲みにわざわざ遠方からご来店いただくお客様もいらっしゃるくらい、当店の看板メニューとなっています。
ロイヤルミルクティーについては、今までにもブログ記事で何度かご紹介してきました。
ロイヤルミルクティー誕生までの道のり
ロイヤルミルクティーへのこだわり
ロイヤルミルクティーをお客様のもとへとご提供できるに至るまでに、様々な経緯がありました。
今回は私視点でロイヤルミルクティーを開発するに至ったお話をしていきたいと思います。
「ティーハウス・ムジカ」の存在は大きい
ロイヤルミルクティーを開発するに至った経緯には、「ティーハウス・ムジカ」の存在が非常に大きくありました。
「ティーハウス・ムジカ」といえば、日本で初めて本格的にティーポットで紅茶を出したお店として全国的に知られています。
紅茶といえばムジカ
私はムジカで修業をしていたので、紅茶業界におけるムジカの絶大な影響力・知名度を肌身で感じていました。
そのムジカの中でも特にシナモンティーがとても有名で、私自身もひんぱんに飲むくらい好きなメニューでした。
だからこそ、紅茶を扱うだけではとてもじゃないけど太刀打ちできない。
でも自分のお店を作るからには、自分の店ならではのものが欲しい。看板メニューが必要だ。
ロンドンティールームを立ち上げる時、そう考えていました。
ムジカにはないメニューは何か?
そう考えた時に、当時ムジカのメニューにはスパイスが入っていない煮込み紅茶は扱っていないということに目をつけました。
そこから“英国紅茶” そして、“スパイスを使わない煮込み式の紅茶”の2つを、自分の店の武器とすることに決めたのです。
この“スパイスを使わない煮込み式の紅茶”こそが、ロイヤルミルクティーです。
私がロイヤルミルクティーを開発するに至るまで
当時、煮込む紅茶といえば「スパイスティー」でした。
ムジカといえばシナモンティー
私はここに対抗するために、”スパイスを使わない煮込み紅茶”を開発することにしたのです。
煮込むことで濃厚で、でもエグ味がなくお砂糖を入れなくても美味しく飲める紅茶を作りたい。その一心でした。
ただ、開発に至るまでには本当に悪戦苦闘の連続でした。
一般的に煮込むのに適している茶葉は、「アッサムのCTC」であるといわれています。
当時入手できた様々な市販の茶葉で試してみましたが、アッサムは煮込むとエグ味がひどく出てしまい、お砂糖無しでは非常に飲みづらいことがネックとなっていました。
市販の茶葉ではどうしても求めているものにはならない。
そう考えていた時に、当時ブルックボンド紅茶を日本向けにブレンド、販売をしていた日本紅茶株式会社と茶葉のブレンドを共同開発することとなりました。
セイロン系でディコヤ産の原茶をベースに数種の原茶をブレンドし、試行錯誤を繰り返してやっと出来上がったのがロイヤルミルクティー専用のオリジナルブレンドです。
ロイヤルミルクティーへの情熱
ロイヤルミルクティーを看板メニューにするために並々ならぬ情熱を注ぎました。こだわったのは茶葉だけではありません。
1.牛乳
コク深い濃厚なロイヤルミルクティー作りの要となるのはミルクの美味しさ。日本中のありとあらゆる牛乳を取り寄せ、飲み比べました。
イギリスの牛乳のような、乳脂肪分の高いものがロイヤルミルクティー作りにおいて不可欠だったのです。
2.ミルクパン
ミルクパンもオリジナルです。
ロイヤルミルクティーを炊き込む時、市販のミルクパンだと浅くてどうしても吹きこぼれてしまいます。
美味しく作るためには、牛乳1本分まるごとミルクパンに投入できる深さが必要でした。
そこで業界トップメーカーの「野田琺瑯」に協力を頼み、金型から製作してもらって完成したのが、ロイヤルミルクティー専用ミルクパンです。
- 業務用として耐えられるように通常より厚手に
- 吹きこぼれないように通常より深めに設計
- 取っ手の部分が外れないように鍋本体と一体化
- 注ぎ口は左右両面に
ロンドンティールームの看板メニューとして強力なものを。
その一心で作り上げたのが、ロイヤルミルクティーとなったのです。
“ロイヤルミルクティー”と名付けた3つの理由
「ロイヤルミルクティー」という名前は和製英語なので、イギリスには存在しない単語です。
また、ロイヤルミルクティーという名前自体は紅茶界の重鎮 斎藤禎 先生の1975年発行の著書「紅茶読本」に記述されています。
ただそこに記載されているレシピはポットティーの一種であり、現在普及している煮込み式の紅茶ではありません。
名前が同一なだけであって、別のものです。
ではなぜ、開発した煮込み式の紅茶に「ロイヤルミルクティー」と名付けたのか。
3つの理由があります。
- 「濃厚な」「特別な」という意味合いを付けたかった
- 当時から主流だったコーヒーに負けないインパクトをつけたかった
- 英国と言えば王室(=ロイヤル)と考えた
「ティーポットで淹れるミルクティーとは一線を画した、特別なミルクティーである」とアピールしたいという想いでした。
ロイヤルミルクティーを普及させるために
ロイヤルミルクティーを普及させるためには、看板メニューとして店に置くだけでは足りないと考えました。
そこで私は、「専用茶葉を使えば、だれでもロイヤルミルクティー美味しく作れるレシピ」を作成することにしたのです。
一般の人から、業務用で作る人までを想定し、1人前から6人前までそれぞれの茶葉の分量、煮込み時間、牛乳の量に至るまで、正確なレシピを作成。
それを惜しみなくブログ・youtubeですべて公開しました。
ロイヤルミルクティーをはじめとした紅茶の作り方をもっと普及させたい。
そこには、ムジカと肩を並べたいという気持ちもあると共に、私の根底には「紅茶業界を共に盛り上げていきたい」という想いがありました。
広く一般的になったロイヤルミルクティー
こうした努力の甲斐もあってか、ロンドンティールーム方式のロイヤルミルクティーは全国的に一般的となったと感じています。
先日もTwitterでレシピを紹介したところ非常に多くの方に拡散していただき、より多くの方にロイヤルミルクティーの作り方を知っていただくことができました。
また、近年ペットボトル飲料にもロイヤルミルクティーが登場したことにより、ロイヤルミルクティー自体の知名度が爆発的に上がっています。
ロンドンティールームとしては、今後もロイヤルミルクティー発祥の店として自信を持って広めるべく、精進していきたいと考えています。